2006年1月の出来事

その日仕事を終えて家に帰るといつものように、長男の友達が5,6人来ていた。
「あぁまた友達が来てるぎょうさん来とるわ・・・」と思いながら夕食前にテレビを見ていた時、電話が鳴った。
子どもの高校のクラブ担任からだった。。。 
内容は「今日の夕方、他校とのサッカーの練習試合中に長男がシュートしたボールが相手キーパーの胸に当り
心肺停止で現在危篤状態である」との事。

直ぐに息子を呼び、何で言わなかったのか??と聞くと、息子もビックリしてるようだった。。。

 息子は「確かに自分の蹴ったボールがあたり、心肺停止になったのは解っている。
けど、倒れて起き上がってこなかったキーパーに声をかけて起しに行った時に呼吸が止まっていることに気づき、
すぐに心肺蘇生(心臓マッサージ)を行い、救急隊が来るまでやり続け、駆けつけた救急隊の処置のあと
病院搬送した時、先生達からもう大丈夫だと言われたから、心配ないと思っていた。」と。。。  
(実際、病院到着は心肺停止から25分かかっていました。)


 息子の友達を帰らせ、息子には「今はお題目しかない、題目あげろ!」と御本尊様の前に座らせ、
私たち夫婦は病院へと走った。
 病院には相手のご両親も来られていて、「息子のせいで大変な事になってしまって本当に申し訳ありません」
とお詫びを言うと、ご両親は「これはスポーツ中の事故です。息子さんには何の落ち度もありません。
ここは私たちがいますので、どうか息子さんについていてあげてください。」との言葉を頂いた。
こんな状況で、私たち家族の事を思いやれるこの方々はすごいと思いました。

 たまたま、運び込まれた病院が私たち夫婦が勤めている職場だったので、無理を言って病室に入らせて
頂き、手をとってお題目をあげながら、「必ず元気になってくれ!」と祈りました。
その後、担当医や医長に、どうしても助けて欲しいとお願いし、治療方法を考え頂き、可能性があるとすれば
「低体温療法」しかないという結論でした。 受入れ先が決まり、深夜に転院する事になりました。

その間、家族で必死にお題目をあげました。
転院には男子部の医師がついてくれ、これも護られたと思いました。 


その日から、我が家ではお題目の声が響きました。
特に母親はフルタイムの仕事をしながら、寝る間も惜しんで、毎日10時間の唱題をあげていました。
(婦人部はすごい!)
2、3日が経った時、息子が「お父さん、あの子が死んだら、俺、人殺しになるんかな?」
「もう学校に行けないから、田舎の学校へ転入とかできひんかな?」と。。。
私は「そんな弱気でどうする!、そんなんやったら助かるもんも助からんわ!!、今はとにかくご本尊様を
信じて題目あげるんや!そんな事考えるながら題目あげても叶わんぞ!」と。
男子部の方々も飛んできてくれ激励してくれました。、

約10日後、連絡が入り、低体温療法を解除します。徐々に平常体温にもどして意識が戻れば大丈夫!と。
その後、意識が戻ったと連絡があり、ひとまずホッとしました。

回復の連絡が入るたび、御本尊様に感謝しながらの唱題。
1カ月が過ぎ、一度お見舞いに行きたいと先方に連絡すると、「是非、来てやってください。」との事。

病院へ行くと、病室から一人で歩いて出てきてくれました。
開口一番「助けてくれてありがとう。。。」の言葉。  二人は抱き合って喜びあっていました。


病院の医師は、心肺停止状態で25分後の心臓鼓動。 
通常なら元に戻らないのに、後遺症がほとんどなく回復してきている。本当に奇跡としか言いようがない!
事故後の初期処置が適切だったのでしょう。。。と言うことでした。



この事故が起こった翌日、知り合いの市会議員、県会議員に電話で事故の事を話し、
「AED」があればその場で助かっていた。 なんとかして欲しい。。。と


今ではどこにでもある「AED」だが、この年の新年度予算での設置へと大きく動く事になる。



もうひとつ、この事故はなぜ起こったか???
病名「心臓震盪」。。。医者も始めて聞くような病名だった。
つまり、今まで「心臓麻痺」「突然死」で終っていたものを。。。。

成人前の発育途中の胸郭は柔らかく、心臓の動きのあるタイミングで衝撃を受けると心臓が停止するというもの。
詳しくは 
http://www.tmg.gr.jp/hokensinpou/040302-shinshintou.html


この事例を救急の講演で発表して頂いたり、市議会で訴えて頂く中、現在では子どもたちは当たり前のように胸部に
予防プロテクターをしている。


心臓震盪の処置はAEDが最も有効なため、スポーツ部は試合に常にAEDを携行するようになった。



子ども達や我々親は本当につらい事故だったが、このように対策が明確になり、今後に役立つ事は良かったと思う。

【つづく】